Column
コンドルクエストのレコードタイムはどのくらい価値があるのか? [2004.3.20]
きんもくせい特別の走破タイム1分41秒5は福島競馬場における3歳芝1700mのレコードタイム。同時に3歳全体のレコードでもあります。しかし古馬も含め施行の少ないこの条件。一流馬の出走があまりなく、正直なところ価値がわかりません。そこでちょっと他条件と比較してみました。
芝1700mでの比較
ローカルでしか開催されてません。
3歳芝1700mのほかの競馬場でのレコードタイム
- 函館:1分43秒8(昭和61年ウインストーン)
- 札幌:施行なし
- 福島:1分41秒5(平成15年コンドルクエスト)
- 新潟:施行なし
- 中山:施行なし
- 東京:施行なし
- 中京:1分42秒7(平成12年シュアハピネス)
- 京都:施行なし
- 阪神:施行なし
- 小倉:1分45秒2(平成11年サニーサイドアップ)※基準タイム
全体の芝1700mのレコードタイム
- 函館:1分41秒0(昭和58年ケイシュウリイダー)
- 札幌:施行なし
- 福島:1分40秒5(平成10年スパークトウショウ)
- 新潟:施行なし
- 中山:施行なし
- 東京:施行なし
- 中京:1分40秒5(平成6年ノースフライト)
- 京都:施行なし
- 阪神:施行なし
- 小倉:1分40秒3(平成14年ヒーリングガール)
ここでのまとめ
他の競馬場の3歳レコードに比べ1秒以上速いですし、古馬のレコードから1秒落ちというのは他の距離と比較して立派ですから、コンドルクエストのタイムはかなり優秀なレコードとなります。しかしあまりにもサンプルが少なすぎ。そこで前後の距離も参照してみます。
芝1600m及び1800mでの比較
根幹距離であるマイルよりも1800m戦のほうが多いのは意外でした。
3歳芝1600mのレコードタイム
- 函館:施行なし
- 札幌:施行なし
- 福島:施行なし
- 新潟:1分33秒8(平成14年ワナ)
- 中山:1分33秒5(平成14年エイシンチャンプ)
- 東京:1分34秒9(平成15年ケイアイウンリュー)※基準タイム
- 中京:施行なし
- 京都:1分33秒4(平成9年アサカホマレ)
- 阪神:1分34秒6(平成8年メジロドーベル)
- 小倉:施行なし
- 平均タイム:1分33秒8(基準タイムは除外)
- 平均ラップタイム:11.725秒
3歳芝1800mのレコードタイム
- 函館:1分49秒6(平成12年ジャングルポケット)
- 札幌:1分51秒3(平成7年センターライジング)※基準タイム
- 福島:1分50秒2(平成13年マイネルスタード)
- 新潟:1分47秒8(平成14年ホシノメガミ)
- 中山:1分48秒2(平成12年マイネルモルゲン)
- 東京:1分47秒9(平成15年コスモバルク)
- 中京:1分48秒7(平成9年エイダイクイン)
- 京都:1分46秒7(平成15年スズカマンボ)
- 阪神:施行なし
- 小倉:1分49秒8(平成15年ツルマルシスター)
- 平均タイム:1分48秒6(基準タイムは除外)
- 平均ラップタイム:12.066秒
ここでのまとめ
施行回数に違いがありますから一概に比較はできないわけですが、平均レコードタイムはマイルで1分34秒切るくらい、1ハロン延長で1分48秒後半が目安と言えそうです。その差はなんと約15秒!1800mでのマイル通過タイムと比較して約3秒の開きがあります。たった1ハロンの延長でずいぶん違いますね。果たして1700mはマイルに近いのか、それとも9ハロンに近いのか。とりあえず間を取って7秒5足してみると、1700mのレコードの目安は1分41秒台に。コンドルクエストのタイムはごく普通のレコードということになります。
余談
平均ペースという場合、おおよそ1ハロンを12秒弱というのが一般的と思いますが、マイルと1800mでここまでレコードに差があるというのはけっこう驚きです。馬が無酸素運動で走れる限界がマイルなんて話をよく耳にするのですが、マイルを境にガクっと平均ラップタイムが落ちるのはそのへんに理由があるのかもしれません。これはこれでちゃんと考察すると面白いネタですね。
参考:3歳芝2000mのレコードタイム
- 函館:施行なし
- 札幌:施行なし
- 福島:施行なし
- 新潟:施行なし
- 中山:2分0秒7(平成15年シェルゲーム)*
- 東京:2分2秒3(平成15年コスモテナシャス)
- 中京:2分2秒2(平成3年エイシンテネシー)
- 京都:2分0秒7(平成12年クロフネ)
- 阪神:2分0秒8(平成12年アグネスタキオン)
- 小倉:2分3秒8(平成11年オリーブクラウン)※基準タイム
- 平均タイム:2分1秒3(基準タイムは除外)
- 平均ラップタイム:12.134秒
マイルと1800mよりもラップタイムの差が小さいですね。やっぱり1700mくらいを境に走りの質がガラリと変わるのかもしれません。しかしさすがに2歳で2000mを2分1秒切るような猛者は名馬ですなあ。シェルゲームのG1制覇は約束されたようなもの?
2006-08-28追記
平成17年12月3日、中山芝2000mの2歳レコードがなんとエルっ仔ナイトレセプションによって塗り替えられました。しかもついに2分の壁を破る1分59秒9。当然日本レコードです。このときは「皐月はモロタ!」と思ったものですが。
雑感
ほんとは同日の他の距離やペース、出走馬のレベル、芝状態など様々な条件を加味しないといけませんから、こんな単純に結論は出ないことは百も承知ですが、コンドルクエストを過小評価する連中が多いのでちょと意地になってみただけだったり(結局おれも親バカですな)。スピード指数やクラシフィケーションのように馬の能力を数値化するという行為はゲームオタやデータ厨は萌えるでしょうけど、百聞は一見に如かず。実際のレースを見てどう感じたかが一番頼りになるのかもしれませんね。おいらのスカウターにはエル基地フィルタが入ってますから他の人には参考にならないと思いますが。
あーそうそう、スズカマンボの1800mのレコードは特筆モノですね。若葉で2着にきましたが、この馬ハマるとものすごい強いのかもしれません。ムラはありますが1800m戦では素直に買い?。
2006-08-28追記
その直感を信じていれば?いやまさか春天勝つとは思いませんよ。
今回気がついたこと。府中の3歳レコード4つのうち3つはコスモナントカが記録している→3ヘェ
さらに余談
日刊競馬にこんなコラムがあります。
日刊競馬で振り返る名馬 > タケシバオー
(略)
オレはタケシバオーのレコードを出したレースを見ているんだ。このひそかな誇りが、昨年から東京ダート1700がなくなったことにより、JRAのホームページで検索したところ、タケシバオーの名前が“人為的”に消えていたのである。子供のころに最強だったベーゴマがポケットにあるときの誇らしげな気持ちに通じる、オレのタケシバオーの名前が消えてしまうなんて…。
(略)
梅沢 直 氏
氏の指摘する通り、改修前の府中はタケシバオーはもとよりオグリとホーリックスの壮絶な世界タイレコードやネーハイシーザーの独壇場だった毎日王冠、ダート新時代を予感させるクロフネの秋二連戦など心に残るレコード決着がたくさんありました。改修でそれが消えて残念だと思いきや、ちゃっかり以前のものも残してあるんですね。同じようにかなり大幅な改修になった新潟は残ってないのに・・・まさかJRA内にもタケシバオーフリークがけっこういるとか?それとも今年タケシバオーが顕彰馬選出というサインでしょうか(w
2006-08-28追記
ほんとにサインでした。恐るべし竹芝厨。