Column

俺の屍を超えて行け───府中より愛を込めて

ソングオブウインドの菊花賞制覇が与えた精神的安心感はつくづく大きい。さらにその一番大事な瞬間を見逃さずに済んだ自分の幸運もたいしたものと思う。その幸運がまだ残っているのなら。

[2006-11-23] ジャパンカップ祭り初日

前回の京都遠征では機動力を重視したセッティングでしたが、今回は局地戦向けのフルアーマー仕様。スーパーバルキリーとアーマードバルキリーの違いと考えるとわかりやすいと思います(変形できません)。まあ前回の荷物に寝袋と枕(ないと眠れない人)が増えただけですけど、正直この格好じゃ寝袋入っても甘かった。残念なのはレンズが標準ズームのままなことです。本当は火曜にまとまった入金があるはずだったのですが、来週に飛んでしまいました。また7000円で過ごさないといけないのですが、今度は帰りの交通費を考えなくて済むぶん、気が楽です。

始発で府中正門前に到着、JC徹夜組は先着10組くらいだけどシート1枚でも何人増殖するかわからないので油断はできず。とりあえず列の最後尾にシートを張り、公開調教待ちに並びます。こちらも10人くらいで思ったほど寒くない。ようやく開門、姐さんの馬場入りは7時50分とのこと。観客は1000人くらいはいるようです。

ウィジャボード姐さんの公開調教(どこのSMサロン)

今年のカルチェ賞年度代表馬の座に着いた女王様ウィジャボードは2004年に続く史上初の2度目の受賞。例年の受賞馬と比べるとやや中身が淋しい気もするけど、裏を返せば年間通じてコンスタントに走った欧州馬が不在だったというわけです。3歳から牡馬と混じって長くタフに一線級の走りを披露したウィジャボード。イギリスでは近年屈指のアイドルホースで多くのファンクラブが存在するようです。直前のBCフィリー&メアターフ楽勝や2年連続JC参戦により日本での知名度も高いのですが、彼女目当てで公開調教やJCを観戦する人がけっこう多いのには驚きました。まあ俺もそのひとりなわけですが、彼女ほど日本にファンを作った外国馬というのは過去いたでしょうか。

これまでに2度以上来日した外国馬はけっこうな数で(*)、その中にはサイレントウィットネスをのようなビッグネームもいますけど、ウィジャボードに対しては外国馬に対する興味よりも国籍や所属を超えた馬そのものへのシンパシーを感じていた人が多いように思います。こういう感覚が芽生えていることも国際化のひとつなのかもしれません。

世界の名手フランキーを背に登場したウィジャボード姐さん。まず軽くダグで直線を走り、その後向こう正面までキャンターで移動するとから一気に加速、直線ラスト2Fくらいでデーットーリが仕掛けると鋭く反応し馬場の真ん中を真っ直ぐに駆け抜けました。ストライドより回転の速い足捌きが印象的で、この走りが世界で実績を残す原動力のような気がします。追い切り評価としては文句なく特A。もう一頭の参戦馬フリードニアは角馬場での調整だけに終わりました。馬房に戻る際にも激しく入れ込んでいて、常識的に考えれば馬券対象外。スタネーラの頃と同じようにはいかないと思います(*)。

ウィジャボード

公開調教も終わり場所取りの列に復帰。じっとしてるとやっぱり寒い。今日は競馬博物館で時間潰せますが問題は明日だろうなあ。場合によっては一旦戻ろうかな。ヒマもつらいけどそれ以上に前に並んでる人たちが大変騒がしくてうざったいのです。

[2006-11-24] ジャパンカップ祭り二日目~全米が泣いた

底冷えして目が覚めた。あれだろ、こういう時に限って「今年一番の寒さ」とか発動してるに違いない。目を凝らすと何かある・・・差し入れヽ(゚∀゚ )ノキター

今朝はよく晴れてひんやりした空気。歩道を枯れ葉が舞う様はいかにも晩秋の府中らしい。ジャパンカップがこの時期で良かった。 JC来たりなば、有馬遠からず。

もうひとつの楽しみ

写真日和なので競馬場のまわりを一周撮り歩きしてみた。府中の森とはよく言ったものです。

1週約90分。けっこう疲れました。

[2006-11-25] ジャパンカップ祭り三日目~ダート編

また底冷えして目が覚めた。あれだろ、今度は生涯最高のデキとかだろ。隣を見ると寝袋増えてる・・・ゆたかさんヽ(゚∀゚ )ノキター

第0競走:開門ダッシュステークス(G1)

ポールポジションは無理でしたがいちおうフロントローからの発走。おれのターゲットはラスト1ハロンのスタンド二階とパドック西側。発走時刻は8時50分。わりと体調がよいので今日は好位からレースを進めるつもりです。

ゼェゼェハァハァ。体調はよかったです。でもスタミナの量がぜんぜん足りませんでした。スタンド2階をキープした時点で口から心臓が飛び出すんじゃないかってくらいバクバクで、まるで心房細動でも起したかのような状態。トウカイトリックは偉大です。まあ今日は思ったより人が少なかったのが幸いしてゴール前100メートルのスタンド二階とパドック真ん中を確保。ユタカさんもウィナーズサークル確保&じゅげむさんと合流。しかし疲れ果ててメイン近くまで徘徊する気力がありませんでした。

ではここからはまじめに。

展望~パドック

外国馬の出走馬はなく、カネヒキリとアジュディミツオーという中央地方の両エースを欠き、JBCクラシックを制したタイムパラドックスも木曜の調教の後故障が判明、またヒシアトラスが原因不明の熱病に冒されるなど「ジャパンカップダート(G3)」「今年のJCダートは呪われてるんじゃないのか?」と揶揄される始末。無事にゲートに収まることがまず大事とはいえお世辞にもレベルの高いメンバーとは言い難いが、メンツが淋しいからといって必ずしもつまらないレースになるわけでもない。馬券的興味はJCよりもこちらのほうが上だろう。

しかし馬体重発表を見て目が点に。ヴァーミリアンは500kg切ったままでアロンダイトはますますデブになっている。正直惨敗を覚悟したがパドックに現れた2頭を見て前者はガレてるようには見えず、後者も太めには映りらなかった。特にアロンダイトは相馬眼などない俺ですらわかるほど立派な馬体で、重戦車という呼び方がまさにピッタリ。ヴァーミリアンもそれなりに馬格のあるほうだが、ダイオライト記念と比べて今日は小さく映った。エルっ仔以外ではブルーコンコルドがいい気配だったので、やはり距離の壁なのだろうライバルの戦線離脱で千載一遇のチャンスを得たシーキングザダイヤは可もなく不可もなくといったところ。9度目の2着は揺ぎ無いのではないか。

レース&回顧

ゲートは特に出遅れる馬もなくエルっ仔もまずまずのスタート。1枠ヴァーミリアンのルメールが番手を選択したことで生まれたポケットにアロンダイトを入れたことが後藤のファインプレー。3番手のヴァーミリアンは先行馬が適度にバラけたおかげで揉まれずに流れに乗ることができ、これを見るようにシーキングザダイヤとピットファイター。そのダイヤをマークする格好のアロンダイト、隊列はわりと縦長に。

淡々とレースは進み、4角でも手応え十分のヴァーミリアン。完調ならこのまま押し切れるたかもしれないが直線に向いたところでゴチャついてしまい万事休す。変わってインから力強く伸びてきたアロンダイト。銀蹄ステークスまでの4戦を見てもわかることだが、アロンダイトの武器は巨体から繰り出される突進力。ダッシュ力こそないものの一度トップスピードに乗せるとなかなか止まらないのだ。G1の舞台でも持ち味は遺憾なく発揮され、並びかけてきたダイヤを最後は2馬身近く突き放した。菊花賞のときよりも余裕を持って見ることができたのはやってくれるという予感がしていたからか。ヴァーミリアンは直線スムースだったら3着もあった。フィールドルージュの父がクロコルージュというのは因縁か。

スタンド前でガッツポーズの後藤を背にしたアロンダイトの姿は正に威風堂々、G1馬のものだった。前走準オープンを走り、重賞初挑戦で古馬G1制覇というのはグレード制導入以降パーシャンボーイの宝塚記念しか例がない。未勝利から5連勝というのは前代未聞である。愛馬を迎えた石坂師は人目を憚らず涙した。エスコートした後藤もいつになく清清しい表情。

父とは色違いの馬服に身を包んだアロンダイト。声援を贈る人たちに7年前の自分の姿を見た。繋げるのは血だけではない、人の想いなのだ。エルコンドルパサーをリアルタイムで知らないファンも随分増えてきた。そんな中から、今度はソングオブウインドやアロンダイトを起点とする物語を描く人が生まれ、次の世代へと競馬が引き継がれてゆく。

それにしてもシーキングザダイヤはこれで9回目のG1 2着、わざと狙っているとしか思えない。

自分の馬が不利を受けたわけでもない武豊のレース後のコメントに後味の悪い思いが。「メイショウバトラーがインを開けなければ勝てた」というのは「アシストなしには勝てない」とシーキングザダイヤを貶めているのと同じである。もっともアロンダイトがインに入るときの脚はかなり速かったし、多少インを締めたくらいではあの巨躯の突進を食い止めるのは難しい。哲三がインを締めなかったのは哲三自身の敗因でしかなく、ダイヤの敗因を彼に転嫁するのは筋違いも甚だしい。最近このような癇に障る発言が目立つのは、これまでオブラートに包んでいた彼のダークな部分を抑える余裕がなくなってきているのだろうか。

[2007-01-16]追記

別の方のブログで、オレと同じような印象を抱いた人の記事を見かけた。何人かの反論はあったが、「力勝負では勝てない」ことを「インを空けないのが戦略だ」と言葉を変えているだけのように思う。いずれにしても言葉は選ぶべきだ。勝者やファンの感情を逆撫でするようなコメントを第一人者が吐くべきではないだろう。「あそこでインが空くか?」くらいで留めておけば済んだ話なのだから。ディープ騒動が相当彼を過敏にさせていたことをを差し引いても。

もうひとつ、哲三にしてもユタカにしてもアロンダイトを過小評価しており(それは無理もないことだ)、あの脚で突き抜けてくるとは思いも寄らなかったのだろう。仮にあそこでインを締めていたら、今度はアロンダイトの外にいたヴァーミリアンの進路ができることになる。警戒するなら後者というのが、結果が出る前の心理ではないだろうか?

すでに600枚近い写真を撮り、予備のSDカードに切り替えようとしたところなんど破損している。データを移すため一旦帰宅することにしたのだが なんかもう気が抜けてしまい、今からまた府中にいくのがちょっとめんどくさい。しかし裏メインに出走するアペリティフとパッシングマーク、昨年暮に(瀬戸口センセのリーディングの都合で)3連闘し1着、1着、2着のビッグジェムの復帰戦、そして今年の府中最終にシルクタイガーが出走するので重い脚を引きずり(すでに筋肉痛になってる)終電で府中に戻る。

[2006-11-29]追記

ジャパンカップを勝ち、ジャパンカップ当日に引退式を行ったエルコンドルパサー。そのオーナー渡邊隆氏の父である喜八郎氏はまるでアロンダイトの勝利を見届けたかのように、翌26日の朝胃がんのため帰らぬ人となった。氏の所有馬が初めて制した大レースがプレストウコウの菊花賞、それから30年、エルコンドルパサー産駒初のG1制覇がソングオブウインドの菊花賞。ともにレコード勝ちである。何か見えない力がエルを、渡邊親子を後押ししているような気がしてならない。

[2006-11-26] ジャパンカップ祭り最終日~ターフ編

こんな気楽な開門ダッシュは初めてです。何でもこいや。本日の府中競馬場正門前の天候は晴れ、馬場状態は堅、発走時刻は7時40分となっております。

G1のパドックを最後まで撮ろうと思ったら、本馬場入場はおろかレースそのものをナマで見るのは難しい。すべてを得ることはできないので何かを諦めないといけない、そのことを京都遠征時に現地観戦客に教えられ、結局今回は最後までパドックに張り付くことにしました(偶然にも撤収間際にその人たちと出くわした)。

今日の府中でのエルっ仔出走は最終のシルクタイガーだけなので、久しぶりにエルっ仔フィルターを外した状態で馬券検討をしてみました。ただ2歳戦は情報が少ないので純粋にパドックの印象で買えるのですが、程度キャリアを積んだ馬だとどうしても余計な知識というか先入観がジャマしますね。

展望~パドック

今年のジャパンカップに限ってはダートのおまけのようなものですが、楽しみはあります。戦前から白旗掲げてるような連中とは違いある意味国内で初めてディープはまわりすべてが本気の相手とのレースになると思います。力が抜けてるのはわかってはいるものの、そういう状況を教え込んでいないことがアキレス腱になるかもしれない。追い切りも掛かってたようなので意外と死角は多そう。ハーツクライはせめて京都大賞典でも使っていれば・・・とは、パカラン氏

昨年で馬場適性があることは実証済みのウィジャ姐さんを本命にしていたのですが、もっとディープ一本カブリになると踏んでたところが思ったよりオッズが低いので、密かに狙ってたコスモバルクを軸にしてみようかと企んでいます。2着はドリームパスポート。昨日シーキングザダイヤが貫禄の2着を見せ付けてますから内心穏やかでないノリとしては最強2ゲッターの称号は譲れないところでしょうが、スイフトカレントにそこまでの力はないかと。3着は手広く。

パドックで印象に残った馬はドリームパスポートとウィジャボード。前者は素人目にも「入れ込んでるのではなく力が漲っている状態」なのがよくわかりました(助手をグイグイ押してるのが写真でもわかるかと)。後者は逆に「元気がないのではなく完成された落ち着き」で、また完璧に仕上げた馬体というのはこういうものなんだろうなと思うほど無駄のない体でした。悪い意味では、フリードニア。公開調教の時点で気性の荒さが目立ってましたが、気の毒なくらい興奮していて発走前にもう終わってました。ディープも入れ込んでましたが、これはいつのも範囲。真っ先に入ってきたハーツクライは落ち着いているというよりおとなしすぎて覇気がなく、同じようにおとなしかったコスモバルクはハーツよりは馬体を大きく見せてました。なお正直パドックの印象でもシャナオとユキノさんは場違いっぽかった(笑)。

ディープインパクト
ウィジャボード
ドリームパスポート
コスモバルク
フリードニア
ハーツクライ

余談ですが、天気に恵まれた土曜はパドックの半分だけ陽が射していたため、スタンド側から電光掲示板方向に向かって撮ろうとするとホワイトバランスが日なたに引きずられてしまうことがわかりました。ホワイトバランスをマニュアルで設定するか望遠で日なただけを狙うかしないといけないようです。日曜は曇りで均一な状態でしたがとにかく暗くて、ノイズだらけになるのを覚悟の上で高感度に設定せざるを得なかったです。

レース&回顧

というわけで、JCは現地にいながらTV観戦。レース前に雨が降り出しましたが馬場的には特に影響なかったようで何より。事前の予想通り有力馬がみな「本気で勝ちにいく」競馬をしたことで、時計は平凡でも非常にいいレースになったと思います。掲示板の5頭は立派立派。

ディープが世界屈指の存在なのは今日のレースでも明らかですが、手の施しようがないかというとずいぶん現実的な強さの尺度に収まってきたのではないでしょうか。現地でご一緒したグラ基地のゆたゆた氏@BRAIN SQUALの中の人が自身のブログで触れていた「ディープはまさに離陸時のパフォーマンスこそが強みであり、一度飛び立ったあとに、再度加速して宇宙に行っちゃうわけではないよw」というのがまさに的を得ていると思います。

3歳は明暗がくっきり分かれました。土曜のシーキングザダイヤに続きドリームパスポートが2着。すべてのレースでヤネが乗り替ったクラシック戦線の主力というのはなかなか稀有な存在ですが、それでもまったく崩れなかったわけですからこの結果は至極まっとうなもので、脚質こそ違いますがビワハヤヒデ級の可能性もあります。さすがに有馬ではお釣りが残ってないと思いますが来年が楽しみです。岩田も凄いです。

ガッカリなのは菊花賞でも厳しいことを書いたメイショウサムソン。叩き合ってナンボのサムソンに対して直線ディープのほうから馬体を併せてくる願ってもない状況でしたが、恐らく馬自身が内にヨレたのでしょうね。それでもついていかないと勝ち目はないはずなんですが・・・ディープには勝てないにしてもせめてフサイチパンドラは交わせたのでは。結局三冠馬vs二冠馬対決はあっさり三冠馬に軍配が上がりましたが、「ミスターシービーがルドルフより強かったら」というifを具現化した存在、そう考えるとディープインパクトという存在を少しは理解できた気がします。

さて現役最強牝馬に恥じない走りを魅せてくれたウィジャ姐さんは3着。位置取りや仕掛けを見るとデットーリが国内仕様のディープと対戦していないのが大きかったと思います。ただこれだけ走ってしまうとラストランを予定している香港ヴァーズはちょっと厳しいのでは。何しろ相手はソングオブウインドとアドマイヤメインですし。

オールカマー以降別の馬になってしまったコスモバルク。結果論ですがかつてのような引き離した逃げをしてみたら面白かったかもしれませんが、何が何でもハナという感じでもなかったので仕方ないですね。有馬はドリパスよりもこちらに期待ができそう。

・・・結局3連単ではドリパス2着固定の1着3着にハーツとバルクとウィジャ姐さん、さらに3着にディープという絶妙な買い方をしてしまいました。普通は☆と6逆ですよねぇ。

虎、そして祭りの後

さて最終のアプローズ賞、エル基地にとってはJCよりこちらがメイン。シルクタイガーはけっこううるさい仕草を見せていましたがいつものことなので気にしない。この秋は展開に恵まれずいまひとつな結果でしたが、今日は自慢の末脚を発揮できる広々した東京コースとあって期待が持てます。

レースでは中団よりやや後ろにつけ、直線大外から豪快な末脚でゴール前きっちり差し切り、今年の府中最後のレースを締めくくりました。知り合いの出資者も府中にいらっしゃってたようで、さぞ喜んでることかと。JCの3連単を外した俺のダメージも減りました。

競馬最強の法則のブログ、社台の政治学より。

つまり、私がジャパンカップと思って買った馬券は、最終のアプローズ賞とかいう、どーでもいいクソレースだったのだ。

素人のチラシの裏ならまだしも、いちおうあなた競馬記者なんだから自分のミスを差し置いてクソレースという言い方はないと思うよ。JCそっちのけで見てた人もいるんだから。このレースのためにわざわざ競馬場にやってきてる人もいるんだから。この人に限らず、ただの口の悪さをクールとか勘違いしてる人が多いんだろうか?競馬場で「種無し」「ドープインパクト」なんてほんとに口走ってる人もいますし。

レース終了後に行われたパドックでのジャパンカップ回顧イベントも終わり客の引いたスタンド前。祭りの後に残ったのはゴミの山・・・みんなこの光景を見て何も感じないのかな。けっこう状態のいいレジャーシートが置き去りになっていて、もったいないので2つ回収してきました。

ゴミはゴミ箱に捨てるのももちろんですけど、最初から余計なゴミを出さないよう工夫しようと思いました。あと、現地観戦できなかった人用にレープロを5部くらいもらってましたが、メインが終わればキレイな奴がいくらでも落ちてますので、朝レープロを余分に持っていくのはもうやめます。

いろいろ収穫の多い4日間でした。いつの時代もジャパンカップは俺にとって特別なレースであることに変わりはないようです。

データ

ジャパンカップダート結果

全着順
馬名性齢騎手斤量タイム着差コーナー順3f体重
134アロンダイト牡3後藤浩輝 55 2.08.5-7-7-7-736.0 7546
247シーキングザダイヤ牡5武豊 57 2.08.711/44-5-6-436.3 1486
3815フィールドルージュ牡4吉田豊 57 2.08.911/413-13-12-1136.0 8498
411ヴァーミリアン牡4ルメール 57 2.09.03/44-3-3-436.7 9498
5712サンライズバッカス牡4安藤勝己 57 2.09.1クビ13-14-14-1136.2 3472
6611ドンクール牡4北村宏司 57 2.09.311/47-7-7-836.713504
759オースミヘネシー牡4田中勝春 57 2.09.41/29-9-14-1336.214496
8713ハードクリスタル牡6横山典弘 57 2.09.5クビ13-14-12-1336.2 5484
946ブルーコンコルド牡6幸英明 57 2.09.5ハナ9-9-9-836.9 2510
10814ピットファイター牡7デットー 57 2.09.63/43-3-3-337.410496
1135ジンクライシス牡5五十嵐冬 57 2.09.811/411-12-9-1037.111486
1222メイショウバトラー牝6佐藤哲三 55 2.10.011/41-1-1-138.0 6508
1323フサイチリシャール牡3内田博幸 55 2.10.211/22-2-2-238.1 4490
1458アルファフォーレス牡6藤田伸二 57 2.12.4大差6-5-3-440.115508
15610マイソールサウンド牡7角田晃一 57 2.14.4大差11-9-9-1541.012472
通過ラップ
7.1-11.3-11.8-12.2-12.3-12.7-12.2-12.4-11.9-12.3-12.3
通過タイム
30.2-42.4-54.7-67.4
上がりタイム
73.8-61.1-48.9-36.5

走破時計2分8秒5は改装後の府中ダート2100mにおける3番目(良馬場では2番目)のタイムでアロンダイトは自身の持ち時計を4秒6短縮。前半1100m通過タイム67秒4はJCダート史上最も遅く、後半1000mは二番目に速い(最速は2001年クロフネ優勝時の59秒4)。このクラスとしては比較的遅いペースにも関わらず先行馬はシーキングザダイヤとヴァーミリアン以外全滅とレベルに対する疑問符は残る。が、前残りの流れを中団から長くいい脚を使って差し切ったアロンダイトのレース内容は申し分ない。

5代血統表

アロンダイト Alondite 牡3歳 父8歳・母16歳時産駒 2003年 黒鹿毛 早来町
*エルコンドルパサー

1995年 黒鹿 (米)
kingmambo

1990年 (米)
mr. prospector

1970年 (米)
raise a native
1961年
native dancer
raise you
gold digger
1962年
nashua
sequence
miesque

1984年
nureyev
1977年
northern dancer
special
pasadoble
1979年
prove out
santa quilla
saddlers gal

1989年
sadler's wells

1981年 (米)
northern dancer
1961年
nearctic
natalma
fairy bridge
1975年
bold reason
special
glenveagh

1986年
seattle slew
1974年
bold reasoning
my charmer
lisadell
1971年
forli
thong
*キャサリーンパー

1987年 青鹿 (米)
riverman

1969年 (米)
never bend

1960年 (米)
nasrullah
1940年
nearco
mumtaz begum
lalun
1952年
djeddah
be faithful
river lady

1963年
prince john
1953年
princequillo
not afraid
nile lily
1954年
roman
azalea
regal exception

1969年
ribot

1952年
tenerani
1944年
bellini
tofanella
romanella
1943年
el greco
barbara burrini
rajput princess

1961年 栗毛
prince taj
1954年
prince bio
malindi
royal arrival
1954年
vieux manoir
bellatrix

ネヴァーベンドやリボーといった欧州の重厚な血脈で母系が固められており、極めて社台色の強いソングオブウインドとは好対照である。母系5代のうちにクロスが存在せずノーザンダンサーも含まれないため比較的配合の自由度は高そうだが、ただでさえズブさが目立つエルコンドルパサー産駒だけにこれ以上の重さを避ける工夫が必要かもしれない。母キャサリーンパーは3年連続でエルコンドルパサーと交配し、すべて3勝以上を挙げるなど相性が良いよい。なお姉は芝で結果を出しているがともに470kg台であり、550kgに達する巨漢馬アロンダイトに硬い芝を走らせるのは得策ではないだろう。祖母Regal Exceptionは愛オークス馬、祖祖母Rajput Princessは仏1000ギニー馬など、royal arrivalの牝系は欧州での大レース勝ち馬を数多く排出している。本邦の近親にはイブキニュースター。

5連勝の歩み

止まらない末脚。ことダートに限れば、アジュディミツオーやカネヒキリ相手でも直線で差されるシーンが想像つかない。

[2006-05-21] 新潟8R サラ系3歳未勝利 ダ1800m 548kg -2

爆発前夜。レースになっていなかった2歳時の芝での惨敗から十分な休養を取って立て直した成果か、馬込みを怖がらなくなっていた。結果的にハナを切ったバンブーワールドが止まらず3着だったが、馬群に包まれながら末を延ばし37秒7の最速の上がりを出したことで馬自身の成長を伺えた。

[2006-06-10] 東京1R サラ系3歳未勝利 ダ2100m 544kg -4

素質開花。積極的にハナを奪ったものの常に競られる苦しい展開、しかし直線で追い出すと差は開くばかりで、最後は手綱を抑える余裕で8馬身差の大楽勝、またしても上がりは最速の37秒6、走破時計は2分13秒9。奇しくもJCダートと同じ条件での圧勝がすでに暗示だったのか。

[2006-07-09] 京都12R 3歳上500万下 ダ1800m 544kg 0

連勝。大外からの発走でハナは奪えず、中団の外めを追走。ラスト800でもうムチを入れる。直線なかなか止まらない前との差を着実に詰め最後は1馬身差で完勝。上がり37秒6は出走馬中4番目だが、走破時計1分51秒3は500万クラスとしては優秀。

[2006-07-29] 新潟11R 魚沼特別 サラ系3歳上1000万下 ダ1800m 540kg -4

本格化。6枠から押してハナへ。6月の未勝利同様後続にピッタリマークされる展開だが、直線に立っても末脚は衰えず結局2馬身半の差をつけ圧勝で1000万条件を突破。上がりは5番目の37秒8、時計も前走に引き続き1分51秒台と、もう実力を疑う余地はなくなった。

[2006-10-22] 東京11R 銀蹄ステークス 3歳上1600万下 ダ2100m 538kg -2

トライアル。先を見据え道中は後ろから3頭目というこれまでとはうって変わって控える競馬。3角から外をマクリ気味に進出すると一気に先団に取り付く。直線途中でキャピタルフライトと接触したが、まったく怯むことなくむしろ押し返す勢い。最後はシルクウィザードとの叩き合いを難なく制して4連勝を飾った。スローで走破時計は2分13秒台とレコードから5秒以上遅いが、上がり35秒1の素晴らしい末脚を披露。ソングオブウインドの菊花賞制覇に花を添える格好になったが、むしろそれが伏線だったのか。

[2006-11-25] 東京11R ジャパンカップダート 3歳上オープン G1 ダ2100m 546kg +8

大爆発。前走で試した控える競馬が生きた。スタート後無理せずシーキングザダイヤをマークするような形で中団の内を手応えよく追走。4コーナーで逃げたメイショウバトラーが外に膨れたため生じた1頭分のスペースを突くと直線ラチ沿いをスルスルと伸び、コース中ほどを進んできたシーキングザダイヤを苦も無く競り落とす。持ち時計を4秒6短縮して堂々のG1制覇、またしても上がりは最速の36秒0。

参考記事

2頭出し石坂師が意欲/JCダート

25日東京のジャパンCダート(G1、ダート2100メートル)にアロンダイト(牡3)、ヴァーミリアン(牡4)の2頭を送り込む石坂正師(55)が、2度目のG1奪取を狙う。大学卒業後は馬券を買いながらフリーター生活を送り、牧場、調教助手を経て出世した異色トレーナー。その視線の先には、00年スプリンターズSのダイタクヤマトに続くビッグタイトルがはっきりと見えている。

石坂師といえば、G1初制覇となった00年スプリンターズSをなくして語れない。海外G1・2勝アグネスワールド(1番人気)、前年の覇者ブラックホーク(2番人気)など好メンバーがそろったが、これらを愛馬ダイタクヤマトがまとめて負かし優勝。人気は最低の16番目で単勝配当が2万5750円もついたが、栄えあるG1トレーナーの仲間入りを果たした。

そんな石坂師も30年前はフリーターだった。1浪して大学を卒業後、就職先が決まっていた。だが、競馬が好きでたまらず「入社式の日に、電話で断りを入れた」。その後は、週末は競馬場へ足を運び馬券を買った。シンザンの産駒が好きで追い掛け続けた。全国の競馬場を巡り、その先々で馬券を買う生活。そして一念発起し、北海道へ渡って朝日ケ丘牧場の門をたたいた。だが、牧草を切る時に出るホコリと夏場の汗によって体に発しんが出た。加えて冬場の厳寒に耐え切れず、関西に逃げ戻った。

栗東の内藤繁春厩舎で、厩務員から助手になった。そして橋口厩舎が開業と同時に移った。「当時の思い出の馬はセントシーザー」と振り返る。G1に手は届かなかったが、阪急杯、CBC賞など重賞戦線で活躍した。「馬乗りはうまい方じゃなかった。でも走る馬の雰囲気が分かったし、あのころから橋口厩舎も上向いてきた」。ほかに天皇賞(秋)を勝ったレッツゴーターキンなど、名馬の雰囲気を感じることができた。そんな経験と感性が、現在の地位を築いた。

石坂師の長男は大学4年の時に就職が決まり、卒業も確定。就職祝いを兼ねて家族で食事に出かけた。その時、長男が「話がある」と切り出す。なかなか言い出さないため結婚でもするのかと思ったが、長男の口から出た言葉は「馬の仕事がしたい」だった。母親にも事前に相談しておらず、1人温めていた計画に驚がくした。「子育ては妻任せやった。オレが大学を出た時と同じやないか。うれしくないことはないが、正直、困った」。何度か競馬場に連れて行ったことはあったが、馬の仕事を選ぶことは想定外だった。結局、就職せずに「馬の仕事」を模索している。血は争えない。

そんな長男へのエールとして、そろそろ2つ目のビッグタートルを取りたい。昨年の有馬記念(7着)を最後に引退したサンライズペガサスも、必ずG1を取れると信じていた。だが、悲願はならなかった。ペガサスの初子は、年明けの07年1月に生まれる予定だ。「子供でなんとか大きいところを取らせたい」。

その前に、ジャパンCダートでひと仕事。ヴァーミリアンは6カ月ぶりだが、減った体重が戻り力を出せる仕上がりだ。「体重は20キロ増えてもいいくらい」。アロンダイトは4連勝でG1に挑戦する。「未知の魅力がある。他馬を気にする面が、レースを経験してなくなった。競走というものが分かってきている」。相手はそろうが、チャンスは確実にあるはずだ。

<高橋悟史のG1会いランド>

脚注

二度以上来日した外国馬
ウィジャボード、ブリッシュラック、カラジ、サイレントウィットネス、ケープオブグッドホープ、フェアリーキングプローン、セントスティーヴン、ゴーラン、サンドピット、オリエンタルエクスプレス、インディジュナス、ウォーサン、サラファン、ティンボロア、カイタノ、エルナンド、サンドピット、イブンベイ、ペイザバトラー、トリプティク、ランド。中山グランドジャンプに2年連続参戦したランドとジャパンカップを勝ったランドは当然別の馬。
スタネーラ
第三回のジャパンカップ勝ち馬。来日後体調不良により一度も追い切りができず毎日夜中に関係者が曳き運動で必死の調整をした結果、見事キョウエイプロミスを封じ優勝。
エルコンドルパサー産駒の全兄弟~キャサリーンパーの上にも3年~
配合の難しさからか連続してエルコンドルパサーを相手にする肌馬が少なくないが、3年続けて配合した肌馬はキャサリーンパーとダンスパートナー(01年、02年は不受胎)だけである。
全兄弟リスト(強調は中央3勝以上、再強調は重賞勝ち)
2001年2002年2003年
アイリッシュダンス オメガアイランドオメガグランプリ
インクワイアリー ゼンノトレヴィプリマートビコー
エルフィンフェザーフェザーレイ ウイングビート
オートサンデーアルファグリンバトルエアーカット 
オートジャーニーオートキャメロン ノイモント
オレンジピールブラックコンドル ラピッドオレンジ
カーペディエムダスティーミラー マツリダシルヴィ
カサダガ カサパサーパインハースト
キャサリーンパーアドマイヤダンサークリソプレーズアロンダイト
クオレル ダンシングミラクルペガサスダイヤ
クリスチャンネームアグライアアストロノート 
ゴールデンハピネスルシエルブルーダイゴカムイ 
サイレントハピネスパラダイスバードトゥルーハピネス 
ジョードシュア ジョードシュア02ジョードシュア03
スターアルファアルファルドアクアプラネット 
スプリングコートコンドルクエスト トーセンレジェンド
タガノラピス タガノスターダムオーベルジュ
ダンスパートナー不受胎不受胎ダンスオールナイト
ニシノブルーライトニシノアズールニシノホホエミ 
パルフェアムール リスキーアフェアダンディーズケア
ヒードクールタクティクスヒードザコール 
ファビラスラフインラフィンムード ラフィントレイル
ベリアーニゲームアディクトユースフルデイズ 
ホワイトウォーターレディリキッドノーツ ネイチャーガイド
マサコチャンハロウィーン ファンドリコンドル
ミッドナイトボイス ナイトランブラーナイトレセプション
メジロクルトラフパサージュ スナークギャル
ヤングマザーアイラブパリス イルドフランス
ルビータイガーシルクラビッシュシルクタイガー 
2016-10-20追記:アロンダイトの全妹であるクリソプレーズは母になってJDDを勝ったクリソライト、エリ女と宝塚を制したマリアライト、菊花賞で一番人気に支持された芝ダ兼用のリアファルを送り出した。同じく全妹のアドマイヤダンサーも中央3勝を挙げ産駒の勝ち上がり率も高いように、キャサリーンパーとエルコンドルパサーの相性は非常に良かったのだろう。そのほかダンスオールナイトは初音ステークスを勝って6歳にしてオープン入り、社台系牝馬のルールに従い引退レースとなった中山牝馬ステークスでは3着入賞と、遅咲きだったけど牝の芝馬で一番強かったかも。オメガアイランドは競走成績こそ未勝利だが、ブルーハワイ、スカイツリー、ハートランド、ハートロックと、産駒は今のところデビュー前の2012(父ゼンノロブロイ)を除く全馬が勝ち上がり、3頭が3勝以上を挙げ2頭が重賞ウィナーとなっている(5頭中4頭が牝馬)。ファンドリコンドルはメイショウサムソンの帯同馬としておふらんすに渡り、その後高知に移籍後7連勝で福山スプリントカップを制するなど、エルコンドルパサー産駒最多の20勝を挙げた。ナイトレセプションは2歳での2勝どまりに終わったものの、その2勝目となった葉牡丹賞では1分59秒9という2歳芝2000mの日本レコードを叩き出した(2歳で2分を切ったのは今でもこいつだけ)。芝1400mで活躍したフェザーレイからは中距離ランナーのサムソンズプライドが。
マモノは…自身はぱっとしなかったけど産駒は自己条件でも重賞でも相手なりに走る感じ。