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観戦記が見つかりました。

1998年11月29日 ジャパンカップ───世界への舞台は整った

出撃前夜

出撃前夜ジャパンカップに先立つこと中6週、毎日王冠で初めて経験した府中正門前の徹夜。10月初旬と言えど、府中は寒かった。凍死寸前(鳩屋)に陥った教訓から、みな防具に重点を置いた装備。特に部下はフルオプション、通常の3倍の暖房効果により快適である。

深夜のUNO、負けたら罰ゲーム。トキオエクセレントの単勝勝負するハメになったのは神様(現えるえるさんの旦那)。

出陣

パドック夜が明けてパドック。根来厩務員の帽子が可愛い。

本追い切りは美浦北ウッドで 62.8-49.4-36.2-12.8という猛時計を手応え十分にマークしており、体調は申し分なし。佐々木助手の(マイルCSとJCのどちらを使うかという問いに)「どっちでも勝てますから」という言葉は本心なのだろう。

発走時間が近づいてきたのでメインスタンドに向かった。どうも周囲にエルコンドルパサーファンはいないようで、エアグルーヴやスペシャルウィークの話題ばかり。「エルコンドルパサー?距離持たないだろ~」といった声が聞こえてくる。見てろよ、エルをただのミスプロ系マイラーなどと思うなよ。

距離が原因で負けることは恐らくないと思っていた。サイレンススズカに完敗とはいえ、毎日王冠のレース内容はマイルで頭打ちする馬のものではなかった。1800mという、サイレンススズカのマキシマムパワーを引き出せる舞台で、マイラー適性ではなく能力だけでそれなりに見せ場を作ったのだとしたら。距離が延びればスズカを捕えることもできるかもしれない。むしろ2000mを越える距離のほうがエルにとってはレースしやすいのではないか。それが毎日王冠後抱いた感想だった。

今回立ちはだかる強敵はこの距離この舞台で圧勝した経験のある2頭、スペシャルウィークとエアグルーヴに他ならないが、毎日王冠でのサイレンススズカほどどうしようもない相手には思えなかった。それでも負けたなら、勝った馬が強かったということなのだろう。そのときは勝者を讃えようではないか。毎日王冠のときのように。

決戦

ハナを切る勢いで1コーナーに突っ込んでいくエルを見て肝を冷やした。距離は持つといっても逃げまで予期していたわけじゃない。ターフビジョンに映る蛯名の手はガッシリ抑えられたままだ。自分を落ち着かせるように叫ぶ。「だいじょぶだ、折り合ってる、だいじょぶだ・・・」。エアグルーヴとスペシャルウィークはエルコンドルパサーのすぐ後ろ、互いに牽制し合っているのか。

4コーナーでサイレントハンターのリードが一気になくなる。スペもエアグルーヴも仕掛けてきた。その前にエルコンドルパサー、直線に入っても蛯名はまだ手綱を抑えている!これはいける!ラスト200mくらいで勝利を確信するとあとはもうよく覚えていない。よくわからない叫び声を上げ、他のファンと抱き合い、泣いた。

あと一ハロン

最高の舞台、最高の仕上げ、最高の騎乗、最高の馬。そして訪れた最高の瞬間。

口取式

今のオレにできる最大投資1万円は、6万円になって返ってきた。今夜の飲みはオレが奢る。いや奢らせてくれ。この素晴らしい瞬間を仲間と共有できたことを感謝したい。

祝勝会

祝勝会今にして思えば、よくこんな大胆な行動に出れたものだ。佐々木助手に対し半ば冗談半分で「JC勝ったら祝勝会やりましょう!」と雑談していたのだけど、まさかほんとに実現するとは。口取りが終わると府中駅付近の居酒屋を押さえるために猛ダッシュ。よくもまあ場所を確保できたものだ。というわけで、ぱさぱさ、山河系(*)、厩舎関係者らも加わって総勢13人の合同祝勝会。写真は左がこーじさんこと佐々木助手、右がりきまるさん。

集合写真最後に横断幕と共に記念撮影。この写真で見る限り、あずまいーすと氏が主催者に見える。

脚注

山河系
月刊誌優駿に寄稿している山河卓也氏を慕う人脈。類義語に須田系(須田掲)がある。

※このページの画像は、版権フリーにしようと思ったんですが、二次使用の画像やら、肖像権の問題もあったりするんで自分が写っていたらリサイクル可に変更します。